「嘱託警察犬」とは、警察が直接飼育管理する「直轄警察犬」とは異なり、民間で飼育され、民間の訓練士によって訓練を受けた警察犬です。(訓練所所有犬の場合もあります。)
嘱託警察犬は、各都道府県警察が毎年開催する審査会により選考され、任命を受けます。
嘱託犬に任命された犬は、普段も出動に備えて訓練を重ねており警察から出動要請があると、担当警察犬訓練士と共に出動して犯罪捜査に協力します。
嘱託警察犬となる犬(一般の愛犬家の所有)は、まず初等訓練から始めて、順に中等〜高等訓練へと進んでいきます。
初等・中等訓練の段階では、家庭犬と特別異なる指導をするわけではありません。まずは基礎をしっかりと身につけたのち、高等訓練へと進みます。
高等訓練まで終了したあと、特に優秀な犬だけが年1回行われる各都道府県警察主催の審査会に出場します。
審査会に出場できるレベルまで達するには、長期にわたる訓練期間(最低でも2年間)を必要とします。
毎年行われる各都道府県警察主催の審査会では、実際の事件を想定した科目があり、日頃の成果を競います。専門的な訓練を積んだ犬達の中でも特に優秀な成績を収めた犬が嘱託警察犬としての委嘱を受け、犯罪捜査等の現場で活躍しています。
(嘱託警察犬の任期は1年間です。任期満了後は、再び審査会に出場し、改めて嘱託を受ける必要があります。)
日本警察犬協会では7種類の警察犬指定犬種を定めており、以下の犬種が審査会に出場することが出来ます。(以下の犬種でなくても、協会会員の所有犬であれば本部主催以外の競技会に参加可能です。)
●エアデール・テリア
●ボクサー
●コリー
●ドーベルマン
●ゴールデン・リトリーバー
●ラブラドール・リトリーバー
●シェパード
競技会には、日本警察犬協会本部が主催するもの、支部主催のもの、訓練士会が主催のもの等ありますが、科目を大まかに分けると基本科目の『服従』、専門科目で『警戒』、『臭気選別』、『足跡追及』があります。
●服従
訓練士の命令に忠実に従うかをトータル的に競います。脚側行進(訓練士の横に付きながらコースを歩く)や座れ(停座および招呼)、伏せ(伏臥および招呼)、物品持来(投げたものを取ってくる、障害飛越(障害物を飛び越える)、休止(5分間の伏せをさせる)などを行い、服従性を競います。
●警戒
より高度な服従性を競う科目で、パトロール(地形捜索)や犯人発見(禁足咆哮および犯人襲撃)も加わります。
●臭気選別
遺留品の臭いから、犯人の物かどうかを判断する科目です。犯人とおぼしき人物の臭いをつけた布片を嗅がせ、同じ臭いのものを持ってこさせ、正解率を競います。より高レベルな臭気選別に、「ゼロ回答選別」というものがあり、これは「正解が選択肢の中に無い」という回答をするものです。これが正しくできる犬はかなりの高レベルであるといえます。
●足跡追及
犯人の逃走経路を想定し、コース内の遺留品を探し、犯人の臭いを辿りながら正確に足跡のコースを追求していく競技です。
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